- 勅使河原
隊長なに見てるんですか?まさかまだコメンツスクラーム!でも?
- 隊長
いや、今回はもっと真面目にコメンツスクラーム!
- 勅使河原
なんだか嫌な単語で通じ合ってしまう我々が嫌ですね。
- 隊長
「コメンツスクラーム!」が小倉君について話題にすることというテクニカルタームが出来つつあるということだきっと。ともかく、これを見ていたのだよ。
本日の新聞各紙の報道によれば、世界思想社教学社が赤本シリーズに自分の作品を無断使用したのは著作権侵害に当たるとして、なだいなださんや、平田オリザさんら十一人と、財団法人川端康成記念会が計約730万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしたとのことです。
大学等が入試問題においてなだいなださん等の作品を転載するにあたっては、なだいなださんの許諾を必要としません。著作権法第36条第1項により正当化されるからです。
著作権法第36条第1項公表された著作物については、入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度において、当該試験又は検定の問題として複製し、又は公衆送信(放送又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。次項において同じ。)を行うことができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
他方、過去問集の場合、「入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要」だからではなく、「入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定」に備えるために必要だから、当該著作物を「当該試験又は検定の過去の問題」として複製しているにすぎません。したがって、著作権法第36条第1項の適用を受ける可能性はほぼないでしょう。
- 勅使河原
これが何か問題でも?
- 隊長
いや、ふと気になってな。小倉先生の論旨は「著作権法に違反する可能性は認めるが、そんなもので賠償請求するな」と。いや全くそのとおり。
- 勅使河原
じゃ、いったいどんなおかしな点が…?
- 隊長
……勅使河原君は私が小倉君を話題すると思って色眼鏡で見てないか?まあ、いい。たいしたことではないんだ。著作権法は受験勉強に必要となるような利用に制限がかかる法律だったかな?と、ふと疑問に思ってな。
- 勅使河原
ふーむ、なんとなく学術的な利用だから別に大丈夫な気もしますが。
- 隊長
著作権法の「第五款 著作権の制限」を見てみるか…。
- 勅使河原
どれどれ。第三十三条の教科用図書等への掲載……赤本は教科書の範疇じゃないから関係ないですね。
- 隊長
うむ。『教科用図書』とは何かという定義も記載しているから駄目だな。赤本は教科書の定義からは外れてしまっている。
- 勅使河原
他にそれっぽいものだと……ではこれは?
第三十五条 学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
- 隊長
授業『にも』使用されることはあるだろうが、そもそも出版元は担任じゃないし。
- 勅使河原
じゃあ、あとはこれくらいですか?
(引用)第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
- 隊長
む。難しいな……確かに必要最低限という意味では、「過去の問題文と同じ長さ」が必要なのは確かだが。実際問題、内容を読めるほどの長さが適切な範囲と言えるかどうか。大元の試験問題は『引用』しているわけではないから当てはまらないと思うが?
- 勅使河原
確かに、「作品として」ではなく、「問題文として最低限」ですからね……しかし、意外と誤解してましたね。勉強に利用してるから大丈夫という先入観がありましたね。
- 隊長
あるいは出版元もそういう感覚だったのかもしれんな。
- 勅使河原
いわゆる二次創作の著作権問題を思い出しますね。グレーゾーンで先送りされていたことだったのかも。
- 隊長
問題それ自体の著作権も気になるな。翌日にはネット掲載されていたりするものだが、あれもまずいのかもしれん。
試験問題もクリエイティブコモンズ導入を考えたほうが良いのやも。- 勅使河原
……配布不許可とライセンス付けされても困ると思いますけど。